インタビュー: 滝澤香織×山本果奈

滝澤 香織×子育てハッピーアドバイザー山本 果奈
左 山本果奈 Profile
右 滝澤香織 Profile

"生きる力"は能力の良し悪しではない

滝澤:山本さんは、現在、企業で人事担当を務める傍ら、子育てハッピーアドバイザーやNLP実践心理学カウンセラーなどの資格を取得し、地域で子育てに取り組む方々向けに、様々なサポート活動に取り組んでいますよね。そのきっかけは何だったんですか。

山本:仕事柄、毎年、就職活動をする学生を間近に見てきたのですが、年々、勉強はできる・頭もいい、能力はあるけれど、人として"生きる力"が不足した学生が増えているのが気がかりでした。生きる上では、失敗や挫折は避けられません。本当に大切なのは、能力の良し悪しよりも、どんな困難・逆境にあっても「それでも私は何とかなる・大丈夫だ」と思えること。「自己肯定感」にあると思います。実際、日本は自己肯定感を感じる子供の割合が、先進国の中で最も低いというデータもあるんですね。

滝澤:教室を運営していても、それは実感します。だからと言って、保護者が育児に手を抜いているわけではないんですよね。むしろ、すごく一生懸命で。問題なのは、人より優れていることが大切なんだ、そうでなければ生きていけないんだという世の中の風潮です。教育熱心な保護者達は、子供のことを考えるが故に、能力を追い求めてしまうような気がします。

山本:10歳位までは、子供の存在そのものを認めてあげることが大切だと思います。何もできなかったとしても、ただ生きている・そこに存在しているだけでいいんだ、子供がそう思えること。それがないと、どんなに能力はあっても、一度の失敗や挫折で大きくつまづき、立ち直れなくなってしまいます。大人になって社会に出て、いざ自己肯定感を身に付けようと思ってもそう簡単にはいきません。だから「その手前の段階で何とかしなければ」という思いから、地域の方々向けに、微力ながらアナウンスしているところです。

子育てには、第三者の介在が不可欠。

山本:私も実際に、息子を先生の教室に預けたのでよく分かるのですが、先生はとにかく子供を褒めますよね。ピアノのドの音が弾けただけでも「いい音を鳴らすね~」とか。すごく些細なことなのに。何かができる・できないに関係なく、「ありのままを認める」という点で、すごく意味のあることだと思います。

滝澤:子供と同じ目線に立って「まず褒めること」「努力を認めてあげること」を大切にしています。そうやって自己肯定感を育み、信頼関係を作るようにしています。それさえあれば、その後の言葉も届きやすくなりますから。私自身、子供の頃は両親にそうやって接してもらいました。とくに父からは無条件の愛情を注いでもらい「こうしたい」と言ったことで特に反対されたこともありません。父は優劣や順位を気にしない人で、今でも甥っ子のマラソン大会に来て「ゆっくりいけ!」と応援するような人なんです(笑)。そういう点では恵まれていたと思います。みんながみんな、そういう環境で育てるわけではないと思うので、だからこそ、社会にそれを還元していきたいと考えています。

山本:子供を教育していく上で、先生のような第三者の介在は不可欠だと思います。親と子供だけではそう簡単にはいきません。私自身、2児の母なのですが、子育ては毎日が真剣勝負です。どうしても、ぶつかってしまう時があります。昔は、世代の違うおじいちゃん・おばあちゃん、隣近所・親戚など地域社会が、足りない部分を補完してくれたのですが、核家族化が進む今はそうはいきません。ある講演会で「親以外の第三者の褒め言葉が、子供の将来に大きな影響を与える」と国立教育研究所の先生もおっしゃられていました。子育てって一人ではできないんですよね。

滝澤:そういう点ではバランスが大切なんですね。親が子供に面と向かって言えないことでも、私のような存在を介して伝えることで、ずいぶんと効果も変わってくると思います。それに自我が芽生え始める中学生にもなると、なかなか親の言うことも聞かなくなりますが、その点、幼い頃から関係性をしっかりと育んでいれば、第三者の注意でも「この人は自分のことを思って言ってくれているんだ」と耳を傾けてくれるようになりますし。

今後の目標について

山本:現在、子育てハッピーアドバイザーなどの資格を活かして、地域の情報サイトに子育てに関するコラムを書いたり、地域のお母様向けに子育て講演会を開催しているのですが、親御さんから「安心した」と言って頂く機会が多々あります。いかに子育てについて悩み・迷われている方が多いかを実感しました。今後は、そういう方をサポートしていくためにも「自己肯定感」の啓発活動に、より力を入れていきたいですね。

滝澤:音楽教育である以上、コンクールで入賞することも大切です。でもそれは、結果を出すのが大切という意味ではなく、目標を持って、それに向かって努力するプロセスに意味があるということだと思います。私が望んでいるのは、子供に「自分はこれだけは頑張った」と思えるものを作ってあげることです。もちろん、そこには、どういう時期に、どういう価値観で接していけばいいのかという問題があります。今後は、教室運営の中で培ったものを、できるだけ多くの人に還元できればと考えています。

山本果奈 Profile

山本果奈

【担当研修】
・アンガーマネジメント研修
・子育てハッピーセミナー
・コミュニケーション研修
・リーダー研修

【メディア出演】
タウン情報サイト「栃ナビ!」内にて子育てコラム執筆中
(1730万pv/月 会員数54835人)
http://www.tochinavi.net/feature/list.shtml?id=475
フリーペーパー紙とちなび!にて子育てコラム執筆中
(毎月1日、8万部発行)
FM栃木レディオベリー
栃木県提供番組
とちぎで子育てかるがもトーク2にて自己肯定感についての特集番組放送

山本 果奈 ヤマゼンコミュニケイションズ株式会社 人事担当執行役員

1977年生まれ。大学卒業後、大手製薬会社広報宣伝部に勤務。
結婚を機に、栃木県最大級のタウン情報サイト「栃ナビ!」を運営するヤマゼンコミュニケイションズ株式会社に入社。 人事採用担当として14年間採用に携わっている。
採用活動を通し、現在の若者の自己肯定感の低さに直面する。 また、自身の子育てを通し、親の自己肯定感の低さが子供の自己肯定感に影響していることに気づき、自己肯定感を育む子育てスペシャリスト認定「子育てハッピーアドバイザー」の資格を取得する。
さらに全米NLP協会実践心理学カウンセラーの資格を取得。
コミュニケ-ションを通じて家庭で職場ですべての人の自己肯定感を高めるために、アンガーマネジメントの普及に取り組んでいる。

【資格・役職】

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントシニアファシリテーター
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントキッズインストラクタートレーナー
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントアドバイザー
自己肯定感を育む子育てスペシャリストHAT認定子育てハッピーアドバイザー
HAT認定子育てマイスター
全米NLP協会認定マスタープラクショナー
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントコンサルタント

【主な出講先】(順不同、敬称略)

富士ゼロックス株式会社
茨城県教育委員会初任者研修
ネッツトヨタ栃木株式会社
栃木ジョブモール
一般社団法人日本こども音楽教育協会本部校アトリエ・ド・ソレイユ
有限会社エム・アール・ピー
ヤマゼンコミュニケイションズ株式会社社内研修
タウン情報サイト「栃ナビ!」視聴者向けセミナー開催
宇都宮教育委員会主催「宮の朝活」講師補佐

覚悟の瞬間 株式会社サンテックス 滝澤香織

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