コラム

音色優位に導くために

うたごころ、粒立ち、音色、この3つは、ピアノにおいて豊かな演奏をするためには、
どれもが感覚を磨いてあげたいものです。


コンクール等で成果を出させてあげるためには、最終的に一曲の中でどれだけの響きを作り出し、
どれだけ多彩な音を作り出せるかが、鍵を握っています。


うたごころ優位のお子さんは、自分の弾きたいテンポで弾くことが優先で、
自分がどのような音を出しているかを聴いていない傾向にありますが、
反対に音色優位のお子さんは、自分の思う音色が出せていないうちは、テンポを上げられない傾向にあります。



どちらも対照的なところにあり、音色優位のお子さんは自分の出す音が空間に広がり、
消えていく瞬間までを聴いている
ため、流れの中で曲を保つことは後手に回ります。


音色優位のお子さんの指導をする中では、
「うたうこと」を意識させること、そして楽曲以外のいつもの練習曲のところでは、
少しテンポの速いものを常に練習しておかれることをお勧めします。


小さな学年のうちはスケール、学年が上がってきた時にはアルペジオ等、
音色がキレイに保てるものの中で、速さに気持ちも脳の回転速度も追いつく練習をしていらっしゃると、
身体的な等速感が身に付き、その中で音楽を形成していく価値観も意識が出来ます。


音楽は空間芸術ですので、持ち合わせたい感覚としては、
音の広がりを聴き、減衰していくところを聴けるようにしていくことが最も大切な感覚です。


うたごころ優位のお子さんには、自分の音を聴くこと、
粒立ち優位のお子さんには、音が出る瞬間のスピードだけでなく、広がり減衰するところを聴かせること、
そして音色優位のお子さんには、等速感、またうたごころも忘れない中で演奏させることを
意識しながらお稽古なさると、バランスよく感覚を身に付けさせてあげることが出来ます。


お子さんにとっては、ご自分の優位性を理解し、欠点をカバーする対処策を考えることは難しいことかもしれません。


ご指導の先生方におかれましても、先生方の得意とされる感覚と、
生徒さん方の得意とされる感覚が違うことで、「なぜ?」と思われることも多いのではないでしょうか?
まとめました優位性を踏まえますと、生徒さんたちの演奏パターンもいずれかにあてはめることが出来ます。
そのご理解の下、指導法を考えられるとバランスよく感覚を身に付けさせてあげることが可能となりますので、
一度生徒さんたちの優位性を分析なさっててみてください。





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