コラム

我慢させてますか?

新年度もスタートしましたが、新しい生活にワクワクいっぱいでいらっしゃることでしょう。
ご卒業、ご入学おめでとうございます。


先日、保護者の方から衝撃的なお話を伺いました。
ここ数年、新卒者の3年以内離職率の高さについてニュースで耳にしていましたが、
大企業に就職できた方でも、希望の部署に配属されないと3割の方が退職なさる時代だそうですね。


人材不足による売り手市場だから・・・という理由を伺いますが、
教育現場にいると、それだけでもないであろう親子関係の変化を感じています。




コロナ禍に入ったばかりの頃、コロナ以降の社会は今と同じようには戻らない・・・と言われていましたが、
本当にさまざまなことが変わりました。


企業の倒産が増えたのと同じように、少子化の影響から公立だけでなく、私立の学校の閉校も増えました。
その分だけ、特に私立の学校は、生徒確保に向けたサービスが手厚くなっていますから、
その昔からは考えられないほど、子どもたち自身がすることも減り、サポートしてもらえるようになっています。


「キッズファースト」という言葉が世の中に広まると、その意味のとらえ方も難しくなりました。
・大人が真剣に話をしている時に、お子さんが話しかけてくると、「話」の方を保留にして、お子さんの話に歩み寄ってしまう方
・レッスン中に「飲み物を飲みたい」とお子さんが主張すると、自然な流れで飲ませてしまわれる方


私たちが子どもの頃だったら、「待っていなさい」「我慢しなさい」と言われて終わりだったことが、
お子さんの意思が何でも通ってしまうのです。


なぜ上記がダメだったかと言えば、いつもそこには「他の気持ちを思いやる」という理由がありました。
真剣な話を反故にしてしまえば、人間関係が崩れてしまう・・・私たちが子どもの頃の大人は、身を以て子供にそのことを教えてくれました。


授業中に「飲み物が飲みたいほど喉が渇く」のは、本当ならばそのお子さんのために真剣に話をしてくださっている先生の方です。
その気持ちを考えて、真剣に授業に集中しなさい!と私たちが子どもの頃の大人は教えてくれました。


でも、今はそう教えられる大人の方が本当に減りました。
熱中症の予防のために水分補給をさせる(ピアノの先生方は、冷房を適切に使ってらっしゃいますから、
黙ってピアノを習っている30分~60分では、レッスン前にお部屋に入る前に水分を摂れば、熱中症の心配は少ないかと思います)

コロナ禍では、感染症罹患予防のために水分補給の大切さが言われましたから、授業中に水分を摂ることが、
当たり前の文化に変わっていってしまったからなのかとは感じています。


でも、私たちが子どもの頃は、周りの状況を考えて、誰しもが「我慢したこと」が、
現代の子は我慢する必要はなく、自由に意思が通ってしまう環境で成長していくのです。
我慢しないということだけではなく、先を考えて行動する力も奪っています。


お子さんが成長し、社会に出ていく時に、どんなことが大切でしょうか?
対人関係を円満に築けること、そのためには「他を思う」「周りを判断する」ことをきちんと教えてあげたいと思っています。



過去の記事

全て見る