コラム

便利な世の中になって

爽やかな風の5月、いかがお過ごしですか?
こんにちは、日本こども音楽教育協会、おひさまメソッド代表の滝澤香織でございます。


教育の現場に入って20数年が経ちましたが、世の中の流れを考えてもさまざまなことが変わりました。
一番大きな変化はIT化でしょうか。
インターネットの普及と共に、以前は時間を掛けなくては叶わなかった情報も容易に得られるようになりました。


私が高校生時代は、さまざまな辞書をブックバンドでくくって持ち歩いていましたが、
現代の高校生は電子辞書やスマートフォンで完結できますね。


同じように、クラシック音楽を聴こうと思ったら、CDを購入するか、図書館等で借りるしかありませんでしたが、
今はYouTubeでさまざまな音楽家の演奏をすぐに探すことができますね。




本当に便利な世の中になり、私自身も社会の変化をありがたく思っています。
でも、ある種怖くも思います。


さまざまなことが、こんなに簡単に手に入れられるようになったら、
楽器の練習をコツコツするだけの忍耐力はどうなるのだろうか・・・ということです。
実際講師になった頃と、最近の幼稚園児~小学生を考えると、上手にできなかった時に「飽きる」のが早くなっているように感じます。


楽器は必ず練習が必要です。
素晴らしい演奏家の方でも、毎日の練習を決して欠かしません。


コツコツと積み上げていくことは、子どもたちの成長の過程の中で尊い経験だと思ってきました。
社会に出れば、簡単に答えが出ることばかりではありません。
現代の変化の中で、そのコツコツ努力が難しくなっているのは、怖い流れだと思うのです。


でも、だからこそ音楽のお稽古がお子さんの成長過程で大きな役割を為すのではないかと考えました。
ピアノは簡単には弾けません。
練習の中長期的な計画を考えながら、短期目標も設定して取り組んでいくこと。
時間を掛けて築き上げてきたことが、発表の場を通じて成功体験となり、達成感を感じることができること。


便利な世の中になったからこそ、時間を掛けなくてはできないことを持たせてあげることは、
現代のお子さんにとって、貴重な経験となっていくことでしょう。
(社会に出たら、自分自身で切り拓かなくてはいけないことも多いですものね)


時間の流れが早くなった現代だからこそ、どんな教育を選択していくのかをしっかり立ち止まって考えてみたいですね。






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