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先を見通す力 ヨーロッパの教育
どんなに練習を重ねて来ても、たった一回きりの演奏で発揮しなくてはいけない芸術です。
だからこそ、楽器の演奏をするときだけでなく、普段からの習慣が変わることも大切ですので、
ヨーロッパの教育を取り入れて欲しいと感じる面もあります。
フランスやドイツの小学校では、授業でえんぴつを使うことは禁じられており、
万年筆やボールペンを使います。
これは、正式な書類がそうだから、その習慣を取り入れているところもあるそうですが、
先を見通した上で行動するメカニズムを、子どもたちの思考回路に作るためではないかとも感じます。
消しゴムで消すことが出来なければ、キレイに書くこと、正確に書くことを計算した上で、
ペンを動かす動作をすることでしょう。
しかしながら、日本の教育では、消しゴムで消せるからこそ、先を考えてから行動するのではなく、
衝動的に行動して「アッ」となっている子どもたちの様子をよく見受けます。
例えば、同じ「走る」という動作をとっても、短距離走の選手とマラソン選手がスタートラインに立っている時、
考えていることの情報量は、圧倒的に違うことと思います。
楽曲を弾く前の時点で、どちらのように脳を働かせなくてはいけないかといえば、マラソン選手のように、
曲全体のことを考え、どのようなテンポで弾き始めたら良いのか、心の準備をした上で始めるべきです。
この毎日の蓄積は、実に大きく脳のメカニズムを変えるのではないかと感じます。
ヨーロッパでは、お店の営業時間も日本のように遅くまではやっていません。
ですから、学校で何か使うものがあれば、早めに準備しておく必要があります。
しかしながら日本は大変便利なことに、コンビニエンスストアに行けば、
日常的に必要なものの大半は揃えることが出来てしまいます。
便利なことは良いことですが、教育においては私は妨げだとも思います。
習慣ほど怖いものはないと感じるからです。
その点を踏まえた上で、子どもたちにとって何がよいことかを選択する重要性が問われています。
音楽だけに限らず、先を見通す力は、どんなことにおいても大切です。
私はレッスン内で「消しゴム禁止」とよく申しておりますが、
どんなに話したところで、本人が自覚して、行動を変えようと思わない限り、
一度ついてしまっている習慣を変えることはとても困難です。
時には、フランスやドイツ式に、えんぴつを使うルールを変えることも自覚に繋がっていいかもしれませんね。
カテゴリ:
(一般社団法人日本こども音楽教育協会) 2017年1月24日 06:58
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