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幼稚園児の熱量から教わること

2024年も折り返し地点を過ぎました。
時間の経過は本当に早いものです。とは言いながら、私の中ではまだ7月だったのか・・・という思いもあり、
感じることは、やりたいことを満喫できる体力をありがたく思っています。


教育の仕事に就いて20年以上が過ぎましたが、海外の教育との違いにも触れるようになり、
日本の教育の在り方について考える機会も増えています。
最近、少し考える話を伺いました。



この春、幼稚園の年少さんに入園したばかりの子は、
「やってみたい」気持ちが強く、少し我慢=お友だちの順番を待つことが苦手。


でも、レッスンでは毎回少しずつさまざまなことが出来るようになってきて、幼稚園の先生方のお力の大きさを感じたものでした。
しかし、入園から2か月経たない時期に、「療育に通ってはどうか?」とお話があったとのこと。
これまでも確かに集団生活ではさまざまなことにメソメソしてしまって、その気持ちを立て直すことがなかなか出来ないため、
集団生活では不便あるだろうと療育に通って改善が見られる子もいました。


でも今回の生徒さんは、いつも元気いっぱい、私たちの行動にも興味津々、泣いたとしても立ち直りも早く、
社会性の点から見ても、何か大きな困りごとが起こるタイプではありません。
伺えば、少し療育を受けた方が、本人も過ごしやすいだろうからと言うことでした。


数年前、ベテランの先生から、「日本はアベレージを重視する教育。少しはみ出してしまう子は正そうとされてしまう」と伺いましたが、
今回本当にその怖さを感じました。


やりたい気持ちが強かったら、何よりもやってみたいことを忘れられないのは自然の摂理。
モンテッソーリ教育では、「子どもが集中して取り組んでいることは邪魔しないように」という考えがあります。
でも集団生活をすれば、確かに「みんなで一緒に時間で動く」部分は否めませんから、
そういう点から療育を受けることを勧められたことと思います。


ですが、子どもたちの「〇〇をやってみたい!」というキラキラした瞳を持った熱量って素晴らしいと思うのです。
そのままの熱量で育っていったら・・・本当に素敵だと思います。
その熱量を奪っているのが日本の教育の課題なのではないだろうか?
海外の方からの日本人のイメージも、元々の気質等からではなく、教育の姿勢がそうさせてしまっているのではないか?
と考えると、私たち教育者が子どもたちとの接し方を真剣に考える必要があるのではないかと思う出来事でした。


天才児を育てると言われるモンテッソーリ教育出身者を考えると、
ビル・ゲイツ、マーク・ザッカーバーグ、ジェフ・ベゾス等GAFAの創始者や日本では藤井聡太さんが有名ですが、
それは子どもたちが没頭している熱量を奪わないからだと思います。


環境とは怖いもので、自分が育った環境を当たり前と考えてはいけないというのが、
近頃の私の中での小さな葛藤です。


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