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コンクール教育は何のために?

秋は全国各地で音楽のコンクールが行われます。
コンクールは直訳すると「競争」ですが、この競争というのは他人とのものではありません。

競争とは、今までの自分とするものだと考えます。
コンクールを志す方は、少なからず今までよりも練習時間を増やさなくてはいけません。




では、その時間はどこから生み出すのでしょうか?
もしかしたら、本来遊ぶ時間をピアノの練習時間にまわすことも一つだと思いますが、
芸術ごとは「発想」が大切ですので、遊ぶこともとても大切です。

ですから、私は「少し少しの時間を練習にまわしていく工夫の積み重ね」が、大切だと思います。

たとえば、学校から帰ってくる足取りをいつもより少しはやくしたり、
ご飯を食べてからのんびりする時間を、すぐ行動に移したり、
お風呂に入る時間をいつもより短縮にしたり、こうして少しずつ少しずつ時間を生み出そうという考えこそが大切だと思います。


そのすべては何のためか?それを自覚させることもとても意味を持ちます。
何事、「させられている行動」では、何かを成し遂げられるだけにはなりません。


自分で自分の行動を考え、「目標達成のために必要な努力」を本人自身が自覚できる思考を持てることは、
その目標が何に変わったとしても、同じように自分自身で行動できるように育っていきます。


そして、このために必要なのが、ある程度の結果を出させてあげることです。
努力したことで、自分の目標としていたものが叶う経験をすると、「成功脳」が出来ます。
この成功脳が出来た子は、努力そのものを楽しめるようになります。


何事そうですが、目標を実現できるかどうかは、その目標がどんなに高いものでも、
そこまで頑張りぬけるか、それとも途中であきらめてしまうかです。


児童期にこの成功脳を育んであげるために、コンクール教育は大きな意味を成すものになっています。
特にソロ演奏でのコンクールは、自分が頑張ったものが、その分だけ成果として還元されます。


もしかしたら、努力していったものが、うまく弾けないこともあるかもしれません。
でもそれは、これからの精神力の鍛錬となります。

もしかたら、自分ではパーフェクトな演奏が出来たのに、思った結果が得られないこともあるかもしれません。
でもそれは、人はもっと努力していたということを知る経験にもなりますし、
上には上がいることを知り、更なる努力が必要なんだと自覚させるための経験にもなります。


そうして強い精神力を養っていくために、コンクール教育はあります。

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