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すべき苦労はすべき時にさせる

音楽教育に携わり、子どもたちの大きな成長を見守る中で感じることがあります。

何事もそうですが、一朝一夕で成功を遂げられるものはありません。
だからこそ真の成功をおさめるためには、何よりも好きでいること、
そして根気強く立ち向かう心を育ててあげることです。


この2つが揃わないと、自分の力で切り拓いていくことが難しくなります。

好きだからこそ、どんなことも困難には感じないはずですし、
好きだからこそ、突き詰めたい気持ちも湧いてきます。


しかしながら突き詰めよう!と思う前に投げ出そうとしてしまう子にはある原因があります。



それは、「突き詰めたい!」と思う気持ちより先に「大変だ。。。」という気持ちの方が強くなってしまうためです。


「出来ない」ということが続いたり、大変だという気持ちがあるのに、それでも取り組もうと思うためには、
強靭な精神力が必要となります。
特に習い始めから、小学生低学年前の時期には、この困難を前にしてでもなお取り組もうと思うのには、
やはり周りの方の適切な距離の取り方と励ましの言葉が力となります。


適切な距離の取り方。。。これこそが投げ出さない子に育むために最も重要なことです。
タイトルにもしましたが、「苦労」がしたい子はいませんし、
「苦労」をさせたいお父様、お母さまもいらっしゃらないことでしょう。


でも大変なことを一生避けて通れる人生はどこにもありません。
だからこそ大きな苦労にぶつかった時に、それを「苦労」と感じさせないためには、
子どもの時から、困難にぶつかった時には、1つ1つ乗り越え方を経験させることだと思います。

小さな困難の乗り越え方を経験してきている子は、どんなことも自分自身の力で取り組もうとします。


この「取り組もう!」という意欲こそが最も大切で、この気持ちがなくなってしまった場合、
投げ出すという行動に移ります。

音楽においては、楽譜を読むことが大きな関門となる子も多いことかと思います。
宿題をこなさなくてはいけない。。。というお気持ちから、
保護者の皆様が代わりに読んでしまわれることも多く見受けられます。


しかしながら、学年が上がれば上がるほど、取り組む楽曲の楽譜は長くなり、
その分だけ音数も多くなれば、構成も複雑になります。


ここで楽譜を読む力が十分に育っていないお子さんは、上達は基より、
音楽のお稽古そのものを辞めたいという気持ちの方が勝ってしまいます。

音楽における「自分自身で切り拓く力」は、楽譜を読み解く力といっても過言ではないと思います。

楽譜を読むことは、決して手伝わないであげてください。
手伝ってもらえる。。。という経験があるからこそ、子どもたちは助けを求めますが、
自分自身で読むしかないという気持ちしかなければ、目標があるお子さんは自分で読みます。


それが例えば遅くて目標が叶わなかったとしても、実現したい気持ちが強ければ、
またそこで自分なりの方法を見つけていきます。
それが「意欲」があれば自然な摂理です。

しかしながら、手伝ってもらった経験があれば、助けを求めようとするのもまた自然の摂理だと思います。


もし宿題をこなすことが大変な時は、手伝って差し上げるのではなく、
「どうしたら良いか」をご師事なさっている先生にご相談されてください。
先生方が良い方法を必ず考えてくださいます。


現代の日本は、特に簡単に欲しいものが手に入る便利な世の中になりましたので、
1つ1つ時間をかけて取り組もう!という気持ちを育ててあげることは、
音楽のお稽古だけに関わらず、最も尊い気持ちだと感じます。

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